危険物倉庫建築における重要なポイントとは?建築基準を理解しよう

公開日:2023/04/15  最終更新日:2023/05/23

危険物倉庫建築

危険物倉庫は、有毒ガスの排出や火災、そして爆発する危険性がある物品を保管するためのもの。大きな事故に発展する可能性もあるので、法令で定められた建設をする際の基準は必ず把握しておきましょう。倉庫にはいくつか種類がありますが、この記事では危険物倉庫に焦点を当て、そもそも危険物倉庫とは何か、建設に関わる基準を解説します。

危険物倉庫とは?どんなものを保管できる場所?

危険物倉庫とは、爆発を起こす物質、引火しやすい物質などの危険性があると判断されるものを保管する施設です。

危険性のある物質は法律により指定されており、ガソリンや灯油、軽油、重油、アセトン、メタノールなどがその代表格。

ほかにも、塩素酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、過酸化カルシウム、過マンガン酸カリウム、硝酸カリウム、過酸化亜鉛など多数あり、消防法によって定められています。

危険物の取り扱いが認められている3つの施設

法律上、危険物の取り扱いができるのは製造所・貯蔵所・取扱所3種類です。

製造書は危険物を製造するための施設であり、建物の設備や構造、そして配管が爆発や火災によるリスクを計算して設けられています。

貯蔵所はこの記事でテーマとしている危険物倉庫のことであり、危険物を指定数量倍数取り扱う施設です。

資格をもった危険物取扱者を選任する必要があり、法律に従った消化設備の設置や数量の届け出など厳しい基準が設けられています。

さらに、地方自治体によって条例および規則により、申請内容が異なるケースも有るため、建築前にはそれらも把握しておく必要があるのです。

取扱所は、危険物を小さな指定倍数で扱う施設であり、ガソリンスタンドや塗料店などが該当。ほかにも、ボイラー室(一般取扱所)、ポンプや配管で危険物を運ぶ施設(移送取扱所)などがあります。

それぞれの施設に規定が設けられており、たとえば、ガソリンスタンドの場合は給油スペースのサイズは、奥行き6メートル以上間口は10メートル以上です。土地に関係なく、そのサイズを満たしていなければガソリンスタンドとして営業できません。

危険物倉庫の建築基準を理解しておこう

危険物倉庫の建築基準は法律によって明確に定められています。

ただし、そのすべてを紹介することはできないので、こちらではとくに重要と思われる部分を抜粋して解説していきましょう。

構造基準

危険物倉庫は、屋根や梁に不燃材料を用いることを求められます。

具体的には軽量金属板などが該当。火災が起こることもあり、燃えやすい素材を使っていると周囲に延焼が広がる恐れがあるため、不燃物材料の使用が求められるのです。

また、柱・床・壁が耐火構造であることも必要で、窓ガラスは飛散を防ぐために、網入りガラスの採用は求められます。危険物の取り扱いに必要な、最低限の明るさおよび採光の確保も必要です。

広さの基準も設けられており、軒高は6メートル未満の1階層の建物であることが求められています。

床面積は1,000平方メートル以下であることが必要です。危険物の種類にもよりますが、引火点が70度以内の危険物を保管する場合は、排気口および動力ファンなどの蒸気排出設備の設置も必要不可欠になります。

位置基準

保安対象物に応じた保安距離を確保が必要です。保安対象物とは、学校や病院など人が集まる建物を指しています。

また、爆発などのもしもの際も想定し、危険物の貯蔵量や倉庫の構造に応じ「保有空地(火災が発生した場合でも、周辺の建物や木々などに火が燃え移らないよう確保すべき空地のこと)」を設置することも求められるのです。

ちなみに保安距離と呼ばれるものもあり、学校や病院、公会堂といったものは製造施設から30メートル以上離れている必要があります。

さらに建造物、美術工芸品、考古資料、歴史資料等の有形文化財のうち、歴史上または芸術上の価値の高いとされる重要文化財とは、50メートル以上の距離が求められるので、設置場所の設定には気をつけましょう。

標識・掲示板基準

危険物の製造所であることを表示した標識を設置し、周囲に知らせる必要があります。

また、防火に関する必要な内容を記した掲示板の設置も求められているのです。

危険物倉庫の建築設計に不可欠なポイントとは

危険物倉庫の建築設計に不可欠なポイントとして、設計に関する届出があります。

危険物倉庫を建築する際は、さまざまな制約があるため、それらに合わせて届けて書類を準備する必要があるのです。

また、監督官庁も正確に把握することが、法律違反を犯さないためにも不可欠。設計に関わる法令には、都市計画法・建築基準法消防法・港湾法があります。

都市計画法には危険物の製造および貯蔵を規制している地域を定義しており、建築基準法では危険物の製造や貯蔵量を用途地域で規制しているのです。

消防法は指定数量以上の危険物の貯蔵および取扱いの制限を設けており、港湾法では臨港地区や臨港地区内の土地利用に関する区分が規定されています。

まとめ

危険物倉庫を建設するには、どのようなものが保管できるのか、さらには設備や構造なども把握しておく必要があります。近隣にどのような設備があるかも重要で、場合によっては距離を保たなければならないケースもあるので、立地選びにも力を入れましょう。危険物倉庫の建築設計に不可欠なポイントとして、各種法律もあります。とくに都市計画法・建築基準法消防法・港湾法が重要なので、それらを理解したうえで危険物倉庫建築の計画を進めましょう。

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