工場建築業者は自動倉庫も建てられる?建築基準法について解説!

公開日:2023/09/15  最終更新日:2023/06/01


多くの工場で慢性的な人手不足を解決するための手段として自動倉庫の需要が高まっています。労働者不足だけでなく、人件費の削減や人為的なミスをなくす取り組みとして注目を集めていますが、工場建築業者が自動倉庫を建てるにはどのような点に注意しなければいけないでしょうか。建築基準法を含めて手続きや許可の方法について紹介します。

これからますます増えていく?自動倉庫とは

これまで人が管理し運営してきた入庫や保管、出庫などの一連の倉庫での作業を自動化したものを自動倉庫といいます。人の手を借りずに機械化して運用しているために、人材不足の業界などでは注目されている倉庫です。商品を載せたパレットやコンテナ、ダンボールなど、いろいろな荷物を自動で棚に仕分けして保管してくれますが、主なメリットとしては3点あります。

省力化、省人化が期待

冷蔵や冷凍仕様、危険物仕様など、特殊な用途にも対応しており、労働環境の悪い場所での省力化を実現しています。さらに、今まで人が行ってきた専門作業も機械化されるために人に依存することなく省人化も期待できます。

空間の有効活用

縦や横、高さなどの空間の有効活用や空きスペースを削減して、スペースを最大限に活用することができます。

トレーサビリティの活用

いろいろな荷物管理で活躍できますが、追跡情報も簡単に管理できるので、トレーサビリティとして活用できることもポイントです。

自動倉庫を建てるためには建築基準法で何を満たす必要があるのか?

このように自動倉庫は大変便利な倉庫ですが、建てるためにはいくつかの条件を満たさなければいけません。とくに建築基準法で定められた要件を満たす必要がありますが、どのような点を確認する必要があるのかみていきましょう。

建ぺい率

建ぺい率とは敷地の面積とそこに建築された建物面積の割合のことをいいます。建ぺい率が広ければ、広い面積の建物を建てられます。敷地面積が200㎡で、建ぺい率が60%であれば、建物の建築面積の上限が120㎡となります。

容積率

容積率とは、敷地面積に対する延べ面積の割合です。2階建てであれば1階と2階の床面積の合計が延べ面積で、たとえば200㎡の敷地で容積率が60%で2階建てであれば、1階と2階の床面積の合計が120㎡を上限として建てなければいけません。

高さ制限

建物の高さは地域によって上限が異なっています。また、前面道路や隣地の日照、通風などを確保し、周辺の居住環境を保護する目的として建物の高さが制限されているのです。

とくに上記3点に関しては、増築する場合に注意が必要です。すでに建ぺい率や容積率、高さ制限が上限に達している場合は、増築できないので気をつけましょう。

既存不適格建築物

既存の建築物は、建てられた当初の法律では問題なくても、時間が経って法律が改正された後は適合していないことがあります。分かりやすい例とすれば耐震性です。

1981年6月以降の耐震基準は新耐震基準と呼ばれており、1981年5月以前の建物は旧耐震として区別され現行の耐震基準を満たしていない可能性が高いのです。既存の建物をそのまま使用する分には問題ありませんが、新たに増築する場合は、その部分の耐震性を満たして建築する必要があります。

ただし、増築した部分と既存の部分で耐震バランスに差があると、自然災害によって倒壊のリスクが発生するため、増築時には既存の建物の耐震補強も検討しましょう。

自動倉庫を建てるための手続きや許可について知っておきたいこと

自動倉庫に限らず、倉庫の新築や増改築をする場合には建築確認申請が必要となります。建築確認申請とは、新築や一定規模以上の増改築時に必要で、工事を着手する前に指定された機関に設計図書を提出し、建築基準法への適合性の確認や証明を行うことが目的で、建築基準法第6条に記載があります。

内容としては特殊建築物で床面積合計が200㎡を超えるところや木造以外で2階建て以上の建物で延べ面積200㎡を超えるもの、都市計画区域、もしくは準都市計画区域内における建築物で申請が必要であると記されています。

ただし、建物の種類や大きさ、地域によって建築確認申請がいらない場合もあるので確認は必要です。提出書類としては建物の設計図、工事計画書、構造計算書などの書類が必要で、専門的な内容のためできるだけ施工会社や建築士などに依頼しましょう。申請には手数料が必要となりますが、各自治体や建物の大きさによって費用は異なります。

建築確認の申請後は法律に適合しているかの審査が行われ、審査が通れば工事がスタートできますが、審査が通らなければ、変更、修正を行ったうえで再度書類の提出が必要です。審査期間としては4か月前後かかることもあり、不備があればさらに期間が伸びることもあるので注意しましょう。審査に通らなければ工事がスタートできないため、早めに審査をしておくことがポイントです。

まとめ

工場建築業者が自動倉庫を建てる場合について解説してきました。自動倉庫を導入することによって空間の有効利用が可能で、省人化、省力化が期待でき、メリットも大きいですが、建ぺい率や容積率、高さ制限など、建築基準法で定められた要件をクリアーする必要があります。倉庫を建てるには建築確認申請が必要となり、専門的な要素も強く審査が通らなければ工事ができないので、専門業者に依頼したほうがいいでしょう。

おすすめ関連記事

サイト内検索

【NEW】新着情報

多くの工場で慢性的な人手不足を解決するための手段として自動倉庫の需要が高まっています。労働者不足だけでなく、人件費の削減や人為的なミスをなくす取り組みとして注目を集めていますが、工場建築業者
続きを読む
さまざまなシーンでSDGsが取り上げられるようになり、工場建築においてもSDGsは重要な検討事項となってきています。工場建築においては、環境や地球、自然に優しいエコフレンドリーな設計にするこ
続きを読む
野菜や冷凍食品など低い温度で製品を保管するために必要不可欠なのが、冷凍冷蔵倉庫です。ただし、一般的な倉庫とは構造が大きく異なるため、建築する前にいくつか把握しておかなければなりません。そこで
続きを読む
工場建築関連コラム