工場建築・倉庫建築にかかる費用や坪単価は?

公開日:2023/10/15  最終更新日:2023/09/20
費用

自社の工場や倉庫を建築したいと考えている企業は多いでしょう。そこで重要となるのが、工場や倉庫を建築する際にかかる金額です。どこの建設会社に依頼するかで金額は変わりますが、相場を知っておくことで、建設会社を選ぶときの目安になります。この記事では、そんな工場建築、倉庫建築にかかる金額と坪単価について解説します。

工場建築にかかる費用の目安

まず、工場建築にかかる金額は、2020年度時点での平均金額が1棟約1億9,700万円となっています。ただし、この金額はあくまで平均で、建築する工場の構造や工法によって変わります。

構造・工法ごとに見ていくと、木造だと約2,600万円、鉄骨鉄筋コンクリート造だと約4億2,400万円、鉄筋コンクリート造だと約4億100万円、鉄骨造だと約2億2,300万円、コンクリートブロック造だと約500万円が平均となります。

工場建築費用の傾向や坪単価

それではここからは、工場建築金額の傾向と、坪単価についてお話します。その前にご留意いただきたいのは、工場建築金額や坪単価は固定ではなく、変動的なものであることです。工場建築金額は、敷地の条件や労働力コスト、材料の価格、プロジェクトのスケジュールなどの影響を受けます。

建材が高騰したり、建設会社が繁忙期であったりすれば価格は上がり、それとは逆に建材が安く仕入れられる場合や閑散期であれば価格は下がります。材料の価格は、使用する建材の種類だけでなく、建物の設計や機能によって使用する建材量が増減することも含んでいます。

たとえば、屋根の高さであれば、一般的に屋根が高いほど建設に必要な材料と工事が増加し、コストも上昇します。屋根の高さは、建物内での作業や設備の収容に影響を与えるため、コスト削減のためには天井を低くすればよいというものではなく、用途や収容機材に合わせた適切なサイズでの見積もりが必要です。

ほかにも、鉄骨構造を使用する場合、鉄材の量と重さも建設費用に直接影響します。鉄材は建物の耐久性や荷重に合わせて変動しますが、より多くの鉄材が必要となれば、建設費用は増加します。

また、坪単価は、建物の用途や構造、規模、仕様などで異なります。そして、工場建築費用と坪単価に共通しているのが、地域によって価格が変わることです。都会の一等地と土地が有り余っている田舎であれば、土地の価値が異なることは想像に難くありません。

また、需要と供給のバランス、地域の経済状況なども工場建築費や坪単価に影響を及ぼします。このことを念頭に置いて、工場建築費用の傾向と坪単価を見ていきましょう。

全国の平均建築費は下落傾向

全国の平均建築費を見てみると、2021年度は1坪約69.2万円となりました。平均建築費は、2011年は42.6万円でしたが、2015年には59.8万円まで上がりました。

そして2017年は61.8万円で、その後上がり続け、2020年は70.0万円まで上がっています。しかしそこからわずかに下落し、2021年度の69.2万円となりました。

工場建築の平均坪単価

工場建築金額を大きく左右するのが、坪単価です。ここで注意していただきたいのが、先ほどご紹介した1坪あたりの工場建築費の平均と、坪単価の平均はイコールではないことです。同じ坪単価の土地に工場を建築する場合でも、前述の通り、その工場の構造はもちろん、内装工事や外構工事によっても建築費は異なります。

さらに、工場建築では、衛生工事や設備費用、建築申請費用などもかかってくるため、坪単価と1坪あたりの建築金額は必ずしも一緒とは限らないのです。2021年度の工場建築の坪単価の平均は、約71.7万円となります。この坪単価も、建築する構造や工法によって異なります。

木造の坪単価は約44.9万円、鉄骨造だと約69.2万円、鉄骨鉄筋コンクリート造だと約141.7万円、鉄筋コンクリート造だと約202.2万円となります。そして、日本で建設される工場の中でもっとも多いのが、鉄骨造です。

そのため、鉄骨造の坪単価の平均と全体の坪単価平均の数値が近くなっています。多くの工場建築で鉄骨造が選ばれるには、理由があります。それは、木造よりも高い耐震性と耐火性を備えた上に、大開口の広い空間を作れることです。そして、鉄筋コンクリートよりも金額を抑えられることが挙げられます。

都道府県別坪単価

坪単価は、構造や工法のほか、都道府県によっても異なります。日本の中で坪単価がもっとも高いのが神奈川県で、坪単価110.1万円です。次に埼玉県で104.9万円、秋田県で98.6万円、宮城県で95.6万円と続いています。

そして、日本の中で坪単価がもっとも低いのが愛知県の40.6万円となります。次に香川県で44.5万円、和歌山県で47.2万円です。

倉庫建築費用の傾向や坪単価

倉庫の建築金額は、工場建築金額よりも安い傾向にあります。倉庫を建築する際の全国坪単価の平均は、約43.5万円とされています。工場建築と同じく、倉庫建築も、その倉庫の構造や工法等によって坪単価が変わります。

木造倉庫の場合の坪単価は約36.3万円、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は約46万円、鉄骨造の場合は約43.1万円です。そして、倉庫も日本では鉄骨造で建築されることが多いため、全国の坪単価の平均と鉄骨造の坪単価は近い数値になっています。

倉庫建築にかかる金額の目安として坪単価は重要ですが、倉庫建築は坪単価以外にもさまざまな金額がかかります。主な費用は、内装工事、外構工事、地盤補強工事、電気工事、給排水工事、空調、セキュリティにかかる金額、確認申請費用、図面作成費用などです。坪単価は同じでも、そのほかの金額は依頼する建設会社によって異なります。

そのため、倉庫建築金額を比べたいときは、坪単価ではなく、倉庫建築全体にかかる金額を比較するようにしましょう。これは、工場建築にも共通することですが、最初から建築業者を一社だけに絞り込まず、複数の業者から見積もりを取り、提案を比較して、適切な価格を見極めることをおすすめします。

また、最新の建築材料と技術を採用することも重要です。最新の建築材料や技術は、エネルギー消費量の削減や低メンテナンスでも運用可能な工夫がなされていることが多く、長期的なコスト削減と環境への配慮が実現します。

また、新しい技術を採用することで、従業員が働きやすい環境を提供したり、多くの顧客を引き付けたり、プロジェクトの価値を高めるといった効果が期待できます。

坪単価を知りたい時には?

工場や倉庫を建築するにあたって、目安として、まずは坪単価を知りたいという企業もあるでしょう。坪単価を知りたいときは、工場や倉庫の建築に強い建設会社に問い合わせるのがおすすめです。

建設会社によっては、坪単価だけでなく、その土地に工場や倉庫を建てた時の建築金額の総額の目安を提示してくれるところもあります。そのため、坪単価を知りたいときは、工場や倉庫の建築実績がある建設会社に問い合わせてみましょう。

その時に確認しておきたいことは、建設会社が自社で設計を請け負っていることです。工場や倉庫の建築において、シミュレーション段階と設計後の見積もり金額に差異があることで、トラブルに発展することが少なくありません。差異が発生する原因は、建設業者の多くが設計を外注していることによります。

設計を外注するとなると、情報伝達が複雑になるため、ミスやトラブルが発生しやすくなります。それに加えて、建設会社のシミュレーションでは「ざっくり」だった建物の設計が、外注先の設計会社では「より実際的に」設計されます。

シミュレーション段階では簡略された構造を、設計段階で詳細化することで、費用が追加されることになります。本記事でお伝えしている通り、工場建設にかかる費用は常に固定ではなく、物価や需要と供給バランス、為替レート、工事時期、地域などの影響をうけ、常に変動します。たとえば、工場建築に使用する材料を海外から輸入するようなケースにおいては、政治的要因、海外での需要、円相場などで価格が変動します。

建物全体からすればわずかな設計変更でも、必要な建材量が増えたことで、必要金額が大きくはねあがる事態もあり得ます。とくに、2021年の頭あたりから、日本では鉄鋼や金属製品などをはじめとする建築資材物価指数が全国的に爆発的な高騰を見せています(一般財団法人 建設物価調査会「建設資材物価指数グラフ」より)。

原因はいくつかありますが、中でも新型コロナウィルスをきっかけとした住宅建築需要の急拡大による「ウッドショック」や「アイアンショック」、ロシア・ウクライナ戦争による資源価格の高騰などが大きな要因といえるでしょう。

シミュレーション段階と設計後の見積金額に差が生じてしまうと、建築プランの見直しが必要になったり、程度がひどければ建築計画自体が白紙になってしまったりする可能性もあります。

自社設計する建設会社であれば、シミュレーション段階と設計後の金額に差が生じることがありません。そのため、設計初期段階から工事費用を把握でき、依頼者側は工場・倉庫の建設プランやスケジュールを立てやすいというメリットがあります。

また、設計を外注する場合と比べて、設計費やコンサルティング料が抑えられることや、建設会社と外注先の設計会社との理解の不一致が避けられること、プロジェクトの進行中の設計変更もスムーズになりやすいというメリットもあります。建設会社に坪単価を問い合わせる時は、併せて「自社設計かどうか」も確認することをおすすめします。

まとめ

自社の工場や倉庫の建築金額は、建築費の平均や坪単価の平均を目安にできます。ただし、それらはあくまで目安であり、工場や倉庫の設備や規模、建材の種類や必要量、工事時期、建設地域等によって、かかる金額には幅が出てきます。

それを頭に入れた上で、工場や倉庫を建築する際の参考にしてみてください。工場や倉庫建設をお願いする場合には、自社設計を提供できる建設業者を選ぶことが重要です。設計段階から自社が担当する建築会社依頼することで、シミュレーション段階と設計後の見積り額に差が出るトラブルを回避できることに加えて、プロジェクト全体を通じて連携しやすく、効率的な建設プロセスを確保できます。

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