倉庫は床荷重の基準を確認しよう!検査済証って必要?
この記事では、倉庫を建てる際の規制のひとつである床荷重についてご紹介します。さらに、検査済証の重要性や、検査済証がない場合の救済措置についてもわかりやすくお伝えします。倉庫を建てたいと思っている人や、貸倉庫を探している人はぜひご一読ください。
床荷重はどうやって調べる?
まず、床荷重(ゆかかじゅう)とは、床の積載荷重のことで、単位はkN/m²(t/m²)です。1平米当たり、どれほどの重さに床が耐えられるかを示しています。
つまり、床荷重とは、その床に何kgの物を載せてもよいかがわかる数値なのです。床荷重は、建築基準法で建物の用途ごとに基準が定められており、倉庫の床荷重は3.9kN/m²以上にすることが求められています。3.9kN/m²とは、約397.8kg/m²。
つまり、1㎥の床が約400kgの重さに耐えられる強度が必要です。倉庫は、たくさんの荷物を運び入れ、フォークリフトなどの重機の使用も想定されるため、高い強度が求められるのです。床荷重は、検査済証が交付されていれば、建築基準法で定められた3.9kN/m²を満たしていると考えられます。
検査済証の役割
倉庫業には必須となる検査済証の役割や内容について、ご説明します。
検査済証とは
検査済証とは、(1)建物を建てる前に行う建築確認、(2)着工後に特定の工程に義務付けられている中間検査、(3)工事完了後に行う完了検査の3つに合格した際に交付される書類です。
つまり、検査済証は、建物が建築基準法などの法令に適合していることを証明する重要な書類だといえます。検査済証の取得率は、20~30年程前には3割ほどでしたが、違法建築物が社会で問題視されるようになった今、ほぼすべての建築物で取得されるようになりました。
検査済証の内容
検査済証には、主要用途・工事種別・床面積・建築物の構造などが記載され、建築基準法に適合していることが証明されています。そのため、検査済証が交付されているということは、建築基準法で定められた床荷重を満たしていることが証明できるのです。
検査済証があれば
検査済証があれば、物件を売却したり、増築・改築・用途変更などをしたりできます。検査済証がない建築物は住宅ローンを組めないことが多く、売買に不利であったり、改築・増築・用途変更などができなかったりします。
そのため、検査済証がない建物を買う場合には注意が必要で、検査済証がない建物を売る場合には、売却価格が下がるリスクを覚悟しなければなりません。
倉庫業を始めるときは検査済証が必要
倉庫業を始めるときは、倉庫業法施行規則に基づいた申請や登録などの手続きをしなければなりません。倉庫業法施行規則には、床荷重についての記載があり、検査済証での証明が求められます。また、倉庫を第三者に賃貸する場合にも、検査済証が必要です。
検査済証を紛失・発行していない場合は?
検査済証は紛失しても、再発行はできません。これは、再発行による偽造を防ぎ、検査済証の価値を高めることが目的です。そのため、検査済証の紛失・破損が起こらないよう、まずはしっかり保管しておきましょう。
検査済証を紛失した場合の救済措置
物件の売却や、増築・改築・用途変更などに欠かせない検査済証。そんな大事な検査済証を紛失した場合には、どうすればいいのでしょうか。検査済証が見当たらず、不安に思っている人はご安心ください。救済措置が用意されています。
検査済証を紛失した場合には、検査済証に代わって、台帳記載事項証明書の発行を受けることが可能です。台帳記載事項証明書とは、各市町村の窓口で取得できるもので、建築確認申請の経過などが記載されています。
台帳記載事項証明書があれば、検査済証が交付された建物であることが証明できるため、検査済証の代わりに使用できます。台帳記載事項証明書の発行手数料は、市町村にもよりますが、だいたい数百円です。検査済証を紛失しても、あきらめずに各市町村の窓口に相談してみましょう。
検査済証を発行していない場合の救済措置
検査済証を発行していない場合には、国が指定する専門機関に依頼し「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に則った法適合状況調査を行う必要があります。
この調査で建築物が合法であることを証明できれば、増改築を進められたり、用途変更ができたりします。法適合状況調査は、確認済証の有無によって手順や調査項目が異なります。確認済証とは、建物を建てるときに行う建築確認に合格した際に交付される書類です。まずはこの確認済証があるか、確認しましょう。
まとめ
この記事では、床荷重と検査済証について解説しました。床荷重とは、その床に何kgの物を載せてもよいかを示した数値のこと。建築基準法で建物の用途ごとに基準が定められており、基準を満たしていなければ、倉庫業は始められません。また、検査済証とは、建築基準法を満たした建物であることを証明するものです。検査済証は、紛失しても再発行できないため、厳重に保管しましょう。もしも検査済証を紛失してしまったなら、各市町村の窓口で台帳記載事項証明書の発行を受けることが可能です。検査済証が発行されていない建物でも、専門機関に法適合状況調査を依頼することで、増改築を進められたり、用途変更ができたりすることもあります。